新綱島検車区業務日誌

主に模型いじりの記録を、備忘録として。

【レール工作】アンカプラーレールを自作する

今日の模型弄りです。

 

前回は373系を弄っていましたが、今回は続きではなく別の記事です。

 

当区では機関車や客車・貨車などのカプラーをKATOナックル系に換装する作業をちまちまと進めていることは、前にナックル化記事で書いたとおりです。当区で導入しているレールはTOMIX製(ファイントラック)のもので、機関車もTOMIX製がほとんどのため、今まではMカプラーを使用した自動解放で遊んでいました。

しかしKATOナックル系カプラーで自動解放するには、マグネマティックカプラーなどに交換する必要がありますが、これはTOMIXの解放ランプ付きレールでの解放ができません。

どちらも磁石を組み込んだ機構ですが、磁石の使い方が全く違うので、混用ができないんですね。

今回は、TOMIXレールに、KATO系のマグネマティックカプラー、マグネティックナックルカプラーの解放が可能なように磁石を取り付け、自作のアンカプラーレールとしてみたいと思います。

 

そもそも、両社がどのように自動解放を実現しているか確認しましょう。

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画像は友人に説明するために即席で作ったものの流用で、汚いのはご容赦ください。

手持ちに極がわかる磁石がないため、ここでは仮にTOMIXの解放ランプ付きレール(長いので以降T社アンカプラーと呼称)のものを基準に極A,Bとし、KATO製アンカプラー線路(以下K社アンカプラー)も併せて構造を見てみます。

T社アンカプラーでは、表全体が極A(裏が極B)となるような縦長の磁石を線路間に設置し、機関車のカプラー(Mカプラー)に搭載された磁石(極B?もしくは鉄パーツ)を引き付け、カプラー部が上に跳ね上がることで解放させています。

一方K社アンカプラーでは、線路に沿って極となるような横長の磁石を線路間に設置、カプラー(マグネマティックカプラー,マグネティックナックルカプラー)から伸びる鉄製の解放ピンでカプラーごと引き寄せることで解放させています。

 

さて、TOMIXレールでマグネティック系を解放させるのに一番簡単な方法は、T社アンカプラーの線路を90度回転させて極のある面を横向きにすることです。しかし実際に試したところ、K社アンカプラーに使われている磁石より少し幅が狭いためか、自動解放の性能は満足にいくものではありませんでした。

また、K社アンカプラーから磁石をTOMIXレールに移植する方法もあります。試しにK社アンカプラーを購入してレイアウトに組み込んだ結果、磁力が弱いのかカプラー側の調整が足りないのか、こちらも自動解放が不発となる場合が多いようでした。

最近は磁力の強いネオジウム磁石が百円ショップなどで安く市販されており、これを用いた自作アンカプラーの作例がネット上に散見されますので、私も試しに使ってみることにします。

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ここでふと思いついたのが、このように極Aを上に向けたネオジウム磁石を並べてみれば、T社MカプラーとK社マグネティック系カプラーの双方を解放させることができるのではないか、ということです。

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さっそく試作してみたところ、一定の成果が得られました。

ところが、2列に並べたネオジウム磁石が大きな1つの磁石として機能してしまうため、T社Mカプラーの感度は非常に良いのですが、K社マグネティック系カプラーの場合うまく解放しないことが多いようでした。また、解放せずアンカプラー上を通過だけさせたい場合でも、T社Mカプラーではかなりのスピードでないと走行解放してしまうことがわかりました。

これは、同じ極を同じ方向に向けて並べるため、磁石同士が反発し合ってしまい、本当に置きたい位置(マグネティック系の解放ピンがうまく引っ張られるような位置)に置くことができないのも要因の一つで、もう少し弱い磁石や小さい磁石であればうまくいったかもしれません。

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一応、量産を視野に入れた"量産先行"モデルも作ってはみたのですが、本来の目的となるマグネティック系が解放できないのでは意味がなく、一旦開発頓挫となりました。

 

……と、ここまでの試行が数ヶ月前。

 

この度、仲間内でレールを持ち寄っての運転会日程が決まったことでアンカプラーの製作を間に合わせる必要が出来たため、プロジェクト再始動となりました。

 

手持ちのTOMIX車をナックル(マグネティックナックル)に交換する手段を確立したことや、共同で運転会を行うメンバーにマグネティック系への換装を催促したこともあって、Mカプラーへの対応は考える必要性が薄れてきました。マグネティック系だけの対応で良いならば、話は簡単になります。

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Mカプラー対応版では、極Aを同じ向きに並べていたため、上向きの磁力が強くなり、磁石それぞれに引っ張る横向き(?)の磁力が打ち消されていました。それを、このように互い違いにすれば、磁石1つ1つの引っ張る力が強くなるでしょう。

しかも、お互いが反発し合わないので磁石同士を近づけることができ、ちょうどいい位置に磁石が来てくれそうです。

再度試作品をイチから作ります。

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まずプラ板(0.5mm厚)を15×65程度の大きさに切り出します。これは、アンカプラーに加工するレールの土台に収まるようにします。
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次に百均のネオジウム磁石を互い違いに6個ほど並べます。同じ向きに並べていた頃と違い、向きが互い違いになっていれば磁石同士が仲良く引き合うので、固定は両面テープなどで十分そうです。これなら再調整も楽です。
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磁石が剥き出しだと磁力が強すぎるのでプラ板を挟みます。ここでは15×23に切り出してあります。

いろいろ試してみた結果、ここの厚さは1.1mm(0.3×2+0.5)が良さそうでした。このプラ板同士も両面テープで接着しているので、実際にはもう少し厚くなってそうです。
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先ほど土台に接着した磁石の上にプラ板を載せます。
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線路の方はこのように道床部分を切り抜いてあります。
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この2つを組み合わせればひとまず完成です。

 

暗いですが動作確認。通過時には解放せず、低速時だけ解放しています。遅延解放も問題ありません。

 

白いプラ板をどう誤魔化すかは考えなければなりませんが、とりあえず機能としては問題なさそうです。量産品の製造に取り掛かっていきます。

 

ひとまず、今日はこれにて。