新綱島検車区業務日誌

主に模型いじりの記録を、備忘録として。

【机上研究】快速「海峡」の編成について(その8)

お久しぶりです。

 

しばらく更新があいてしまいましたが、そろそろ更新しなければと記事の準備を進めていたところ、TOMIXから製品化の発表がありましたので、取り急ぎ今書ける記事をアップしてみようと思い立ったものです。

はじめていらっしゃる方向けに改めて説明しますと、昨年から不定期で、「快速海峡の編成について」と称して、かつて津軽海峡線で運行されていた快速「海峡」の編成考察を行っています。

今までは実車編成に関する考察記事でしたが、今回は趣向を変えて模型製品の考察記事です。「既製品の海峡セットを利用して史実編成を再現するとどうなるか?」といった内容の記事になります。よろしければお付き合いください。

 

バックナンバーはこちら:

【机上研究】快速「海峡」の編成について(その1) - 新綱島検車区業務日誌
 その1は実車研究。牽引機であるED79形について。

【机上研究】快速「海峡」の編成について(その2) - 新綱島検車区業務日誌
 その2は使用客車である50系について。

【机上研究】快速「海峡」の編成について(その3) - 新綱島検車区業務日誌
 その3は50系の編成パターンの考察(1988年~1994年改正)です。

【机上研究】快速「海峡」の編成について(その4) - 新綱島検車区業務日誌
 その4は50系の編成パターンの考察(1997年~2002年改正)です。

【机上研究】快速「海峡」の編成について(その5) - 新綱島検車区業務日誌
 その5は『JR気動車客車編成表』に基づく補遺・俯瞰的な記事です。

【机上研究】快速「海峡」の編成について(その6) - 新綱島検車区業務日誌
 その6は14系の概要を簡単に。

【机上研究】快速「海峡」の編成について(その7) - 新綱島検車区業務日誌
 その7は14系の列車編成の変遷を、配置区の変遷と合わせて。

 

資料を整理でき次第継ぎ足しながら書いていますので少し読みづらい構成になっているかもしれませんが、「その1」から順にお読みいただくと、「海峡」の編成について多少ご理解頂けるかと存じます。

 

目次

TOMIX製については次回記事をご参照ください。

 

鉄道模型既製品における快速「海峡」号の製品構成

私が把握している限り、「50系5000番台」や「快速海峡」などと銘打つ製品はマイクロエースTOMIXの2社から発売されており、発売順に列挙すると以下のようになります。

 

 

大きく分けて「マイクロエースNゲージ製品」と「TOMIX製HOゲージ製品」、そしてこの度発売となる「TOMIXNゲージ製品」の3種類が存在します。本記事では、それらのグループ内から製品に手を加えることなく再現できる列車編成について考察してみようかと思います。

マイクロエースNゲージ製品群

製品の編成表を信じてはいけない

少々過激な見出しになっていました。マイクロエースからは、まだ「海峡」が現役だった頃に発売されたA4340を皮切りに、再生産と増結セットの設定、そして改良品の発売と、複数回にわたり製品化が行われています。キット作成や既製品の改造等を行わないユーザーにとって、Nゲージとしては唯一の選択肢です。

ただ、初期のマイクロエース製客車製品によくある話なのですが、「セット内容を順番に連結しても史実編成にならない」という問題があります。

客車ですから、基本的にどのように編成することもできますので、「史実編成にならない」と断言することは悪魔の証明になってしまうのではないか? と思われるでしょう。私もこの手の断言は常に控えているつもりですが、ことマイクロエース「海峡」に限って言えば、「セット内容をそのまま編成した列車編成」は史実に存在しません。

もちろん、そもそも史実編成の再現を意図した製品ではないと思いますが、あえてこのセットを活用して「実際にあり得た編成」を組むにはどうすればよいのか? どんな編成ならセット内容から組めるのか? それを(私の理解の範囲において)詳説したいと思います。

A4340 50系5000番台客車・快速海峡号6両セット

セット構成

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2000年7月という、まだ「海峡」が現役で運行されていた時代の製品です。既に「ドラえもん」ラッピングが施されるようになってから2年ほど経過した時期になりますが、特にラッピングが再現されることはなく、元の青車体に白帯で製品化されています。

マイクロエース黎明期の製品ということで、今の水準から比べると特に車体の造形に少し違和感がありますが、十分「それっぽい」範疇に仕上がっているものと思います。

車両のセット内容は以下の通りです。

  • オハフ50 5016
  • オハ50 5011
  • オハ51 5004(カーペットカー)
  • オハフ50 5010(カラオケカー)
  • オハ51 5003
  • オハフ51 5004

50形、51形それぞれからオハフ・オハを1両ずつ、そして特殊仕様車であるカーペットカーとカラオケカーを含んだ製品構成で、同じ形の車両を入れず様々な仕様の車両をセットに含もうとするメーカーの意図がくみ取れます。

製品付属の説明書にはこの6両を順に組成した編成表が付属しており、これを当ブログいつもの形式で図に起こすと次のようになります。

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凡例:オレンジ色がオハフ、灰色がオハで50形・51形の区別はありません。濃い青色がカーペットカー、黄色はカラオケカーです。図の左側が函館方、右側が青森方を示します。

さて当机上研究シリーズを順にお読みいただいている方であれば違和感を感じられるかもしれません。カーペットカーが3両目に来る組成は、函館方に増号車オハフを増結した例を除いて今のところ確認できていません。が、そもそもの組成順以外におかしなところがあります。オハ51形です。

オハ51形は津軽海峡線開業後、想定以上の旅客利用があったために急遽塗装変更とEG回路の追加だけで非冷房のまま急遽4両が転用されたもので、利用が落ち着いた冬季に改めて5000番代化改造が行われました。4両の小所帯でオハ50と混用されましたが、1997年の春に4両全車にカーペットカー化改造が行われています。

つまり、製品には座席車のオハ51とカーペットカーのオハ51がどちらも含まれていますが、この両形態がともに編成に連結されていた可能性は限りなく低いと言わざるを得ません。この製品だけでは6両編成を組むことができない、ということになります。

逆に言えば、カーペットカー化前後のどちらの時代も再現できるということになります。2種類以上製品展開することなくさまざまな時代設定の列車が再現できるのですから、メーカーのこの判断は歓迎すべきものです。しかし、それを実際に遊ぶ側が、もし史実編成にこだわるのであれば、この点は意識しなければならないポイントになります。

さらにカーペット化後も安泰ではありません。カーペットカー連結は1997年6月からですが、1998年には有名な「ドラえもん海底列車」キャンペーンが開始され、以後「海峡」廃止まで車体にドラえもんラッピングがほどこされます。ですから、このセットから再現できる時代設定は、大きく分けて「1988年~1997年春のオール座席車時代」と「1997年夏~1998年冬の非ラッピングカーペット時代」の2種類になります。

※さらに、当ブログ読者様には「またあの話か」となりそうですが、1991年以降オハフ50形の約半数に「自動販売機設置改造」が行われています。改造以後、改造車と非改造車では編成中の連結位置が区別されるようになり、また両者は外見からも判別可能であることから、ここを厳密に区別するのであれば「このセットに含まれる座席車は1989年~1991年の間の仕様」ということになってしまいます。これはこの後の製品も含めて当てはまる問題ですが、重箱の隅をつつくような差異であること、窓を白く塗りつぶす程度の加工であれば自前で施工される方も多いと思いますので、この点については多少目をつぶりながら解説を進めていきます。

前置きが大変長くなりましたが、以上の点を踏まえてこのセット1つで組成可能な「史実編成」は以下のようになりそうです。

オール座席車時代

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凡例:これ以降、オハフ車のうち自販機搭載のものは茶色で区別します。

このセット1つから作れるオール座席車時代の編成となると、カーペットカーとカラオケカーを抜いた一般座席車4両から組成しなければならず、当然選択肢が限られてきます。そして、4両で組成できる編成となると、さらに時代が限られます。

厳密な時期をまだ特定できていないのですが、基本編成が4両まで減車されたのは1994年頃ではないかと見込んでいます。(編成中に必ず自販機搭載車が1両以上連結されますので、この時点で前述の差異を問題にすると該当する時代が皆無になることがおわかり頂けるかと思います)

4両しかありませんので、組成できる編成は3連か4連の2択です。また、4号車には必ず自販機搭載車が連結され、オハフ51形に自販機搭載車は存在しないことから、1号車にオハフ51、4号車にオハフ50を連結した、3両または4両の編成を組成することになります。(さらに言えば、製品の車番設定オハフ50 5016は自販機の搭載改造がされなかった車両ですので、この点を気にする場合は改番するか、後述の増結セットを導入する必要があります)

3両編成が運用されたのは閑散期のみで、これもいつ頃から設定されるようになったのか不明なのですが、所定編成ではなく減車措置であることは、1・2・4号車という号車番号設定からも伺うことができます。

但し書きばかりで非常にやりづらいですが、これがマイクロエース製品の現実ですから仕方ありません。そもそも、ここまでこだわることは想定されていないでしょうから、メーカーに責はなく、こんな重箱の隅に気づいてしまった私自身に罪があるといえます。

非ラッピングカーペット時代

そもそもセットにはカーペットカーやカラオケカーが含まれているのですから、やはりここはカーペット入りの編成を作りたいものです。

「カラオケカー」の連結は1997年4月26日から、「カーペットカー」の連結は同年6月1日から。「カーペットなし・カラオケあり」の編成が1ヶ月ほど存在したはずですが、残念ながらこの時期の編成例をまだ確認できていません。

では両車が出揃った6月以降、次年春のドラえもんラッピングまでの期間で考えます。

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図3-1は両車ともに組み込まれた編成例で、カラオケカーが1両しか存在しないため1往復だけがこの編成でした。閑散期など、増結しない際の基本編成がこの組成でした。前述の通り座席仕様のオハ51とは共存できませんが、仮にセット内容がオハ51ではなくオハ50だったとしても、編成の組成パターンからするとこの中に座席車オハを2両組み込むことはできません。(正確には、そのような編成例は確認できていません)

図3-2はカーペットカーだけが連結された編成で、3運用中2運用がこの形態でした。この編成を基本として、青森方に増結車を連結していく方式です。一番オーソドックスな、「海峡らしい編成」かと思います。

A4342 50系5000番台オハ・オハフ2両セット

セット構成

上記A4340発売から2年、「海峡」廃止直後の2002年12月に発売されたのはこのオハ・オハフ2両セットで、同時にA4340が再生産されたこともあって実質的な「増結セット」としての発売でした。今後、これらを「基本セット」「増結セット」と呼んでまいります。

増結セットの内容は以下のようになります。

  • オハフ50 5013
  • オハ50 5006

車体構造には特に変化なく、台車・車輪に多少手が入ったのと、テールライトの点灯が省略されてしまったのが相違点です。

ポイントは、前述の自販機搭載車問題に対応するかのように、オハフ50には自販機搭載車の車番を設定された点です。これによって(車番だけですが)史実で「あり得た」編成が組めるようになりました。また、これまで基本編成が4両まで減った1994年以降しか組めなかったところが、この増結セットの導入で基本編成が6連だった1991年まで遡れるようになりました。(もちろん、複数セットの購入で両数を増やせば開業時の編成も再現可能です)

ここでは、基本セットと増結セットを1セットずつ購入した場合に再現できる編成例を取り上げます。

オール座席車時代

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オール座席車で組成できる編成は3パターンほどで、最長6両編成が組めます。

まずは基本編成が6両だった時代、1991年頃の編成が図4-1です。例の自販機搭載改造が同年末から92年にかけてなので、基本的にオハフ、オハはそれぞれどの車両を繋いでも問題ありません。ライトユニット非搭載車の位置に気をつければ、気分によってどの位置に51形を組み込むか、いろいろ楽しみながら組成できます。

このような編成は、基本編成が4両に短縮された1994年以降にも組成されます(図4-2)。函館方4両が基本編成、青森方2両が増結車です。この時代にする場合、4号車は自販機搭載車が固定になりますので、増結セットのオハフは中間4号車に持ってくる必要があります。

図4-3は少々マイナーですが図4-2と同時代、増結編成がオハフ1両のみだった場合の組成です。閑散期の週末などにまれに組成されていました。

図4-4は基本編成が5両編成だった時代、1992年~93年頃の編成です。同様の5両編成は開業時にも組成されていましたが、その頃はまだオハフ51が5000番代化されていませんので、オハフ50が2両しかない中で組成することはできません。(書籍等ではオハ3両をオハフ2両で挟む組成がよく紹介されていますが、いまのところそのような編成例は確認できていません。3号車にもオハフを連結する場合が一般的だったようです)ここでも自販機搭載車の位置は固定で、3号車に連結することになっています。車番が自販機搭載車のものになっているのが、ライトユニット非搭載の増結セットのものなので都合が良いですね。

非ラッピングカーペット時代

さて本命のカーペット連結時代はどうでしょう。先ほど同様、オハ51の座席車仕様は時代設定の問題から使用できませんので、残る7両から組成することになります。

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先ほどと同様に、基本セットに2両増結するイメージです。

図5-1はカラオケ・カーペットの両方を連結した編成で、やはり5号車が自販機搭載車(=増結セットのオハフ)固定です。基本セット・増結セット1つずつの購入で再現できる編成としてはこれが最長のものになります。カラオケ非連結の編成では図5-2のようになります。

なお、増結セットのオハフにはライトユニットが搭載されていないため最後尾に連結できないという問題がありますが、実は基本セットのカラオケカーにライトユニットが搭載されており、史実編成では絶対に使用しないので、車両の分解に抵抗のない方はライトの付け替えで増結セットのオハフを点灯化できます。そうすることで、気分によって増結車を連結したり切り離したりといった楽しみ方ができますのでおすすめです。(なおライトのオンオフスイッチの類いは装備されていません)

 

以上がマイクロエース製A4340,A4342、いわゆる「旧製品」を1セットずつ使用した編成例です。私が所持しているのもこの布陣なので、上につらつらと書き連ねたようなことを考えながら、並べる車両の時代設定に合わせて組み替えて遊んでいます。

 

A4352 50系5000番台客車 快速「海峡」 改良品 8両セット

上述の「旧製品」では、「顔が似ていない」「作りがチープ」「ライトのオンオフ切り替えができない」といった問題がありましたが、2011年7月にそれらの改良を施した「改良品」が発売されました。顔の造形についても多少改善が施され、「旧製品よりは似ている」ということで、今回のTOMIXの発表までは事実上「Nゲージ快速海峡の決定版」となっていました。中古品にもプレミアがつくほどで、私もまだ手元に置くことが出来ていません。今回の発表で多少値下がりしていただけるとありがたいところです。

セット構成

さてさてそのセット内容ですが、旧製品以上に面白いことになっています。

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  • オハフ50 5009
  • オハ51 5004(カーペットカー)
  • オハフ50 5010(カラオケカー)
  • オハ50 5005
  • オハ51 5001
  • オハ50 5007
  • オハ51 36(非冷房車)
  • オハフ50 5012

相変わらず座席車時代のオハ51とカーペットカーが同居していますが、それはもう些細な問題です。なんと、開業年の夏前に急遽用意され、5000番代化される年末までのわずかな期間のみ運用された、非冷房時代のオハ51がセットされ、それらがあたかも同一編成を組まれていたかのように「編成図」として掲載されているのです。(製品PDF

編成中に3つの時代が同居している、というとても素敵な構成で、時代設定を気にする人にとってはこのセットの内容をすべて連結できないのは問題ですが、旧製品の場合と同様にこの1セットだけで様々な時代設定の列車編成を楽しめるのはメリットでしょう。

では、旧製品でみたのと同様に、このセットで作れる編成を見てみます。

オール座席車時代

ここで残念なお知らせをお伝えしなければなりません。旧製品になく、この改良品で初めて設定された「非冷房車」ですが、このセット単体で非冷房車を含む史実準拠の編成を組むことはできません。そもそも座席車仕様のオハフが2両しかない時点で開業時当初の編成を組むことは難しいですし、車両不足で急遽運用された非冷房車という性格上、短編成の列車に組み込まれていたとは思いがたいのです。

そして、座席車仕様のオハフが2両しかないのは非常に使いづらいところです。

というわけで、私の思う「史実編成」を座席車のみで編成する場合、次の一択になります。

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基本編成が4両編成だった1994年から1997年春までのおよそ3年間が対象です。4号車は自販機搭載車固定なので、オハフは製品付属の編成表の通り、1号車に5009を、4号車に5012を連結するとよさそうです。オハは冷房車であれば好きな車両を気分で連結できます。この編成からさらにオハ1両を減車すれば、図2-2と同様な閑散期の減車編成も再現できます。

非ラッピングカーペット時代

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さて本命のカーペット連結時代(1997年)ですが、やはりこちらについてもオハフ不足は如何ともしがたく、旧製品の基本セットと同様の編成しか組めません。

オハが3両(2種類)から選べるほかは選択肢がないので、せっかく8両セットでありながら活用できないのが辛いところです。せめてセット中のオハが1両オハフになっていれば、組成の幅がかなり広がったのではないかと思うだけに非常に残念なところです。

番外編:マイクロ製品でフル編成を組むには

さて、ここまでそこそこの文字数を割いて「マイクロエース製品そのままでは短編成しか組めない」という内容の駄文を連ねてきましたが、逆にマイクロ製品を複数組み合わせて長編成を作るには何セット必要なのか考えてみます。

50系「海峡」の編成両数は最大で12両ですので、やはりここはロマンを求めて12両編成を組みたいところです。そして、いままで見てきたように旧製品、改良品のいずれもオハフ不足に悩まされています。ですから、極力オハフを少なく編成できれば、少ないセット数で長編成が再現できるということになりそうです。

手持ちの編成例を確認して、最もオハフ比率の少ない編成を……と探してみたのですが、手元の資料にある12両編成の編成例ではいずれもオハフが6両以上連結されており、オハフ率が50%を下回らないという結果になりました。多い例では12両中10両がオハフ(カラオケカー、ドラえもんカーを含む)となっています。やはりオハフ不足に悩まされるしかないようです。

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図9-1は基本編成が7両の時代、1989年8月の編成表から。オハフ6両、オハ6両から組成されています。これを模型で組む場合これらの両数が揃うように組めれば良いことになりますが、注意すべきはこの時代のオハフ51がまだ非冷房ということです。よってオハフ51-5000を含む旧製品基本セットではオハフが1両分しか稼げません。旧製品増結セットでかさ増しすることになるでしょう。……非常に気の遠くなる話ですが、そもそも時代設定を1989年12月以降にしてしまえば問題ありません。おそらく、同じく基本編成が7両の1990年や、基本編成が4両になった1994年~1997年にも、繁忙期にはこのような編成が見られたはずです。その頃であれば、オハフ51-5000を1~2両含んでいても問題になりませんので、例えば旧製品の基本セットと増結セットを2セットずつ用意するなどをすればこの編成が組めます。基本1+増結4や、改良品を入れて改良品1+基本1+増結2などの組み合わせも可能です。極端な例では、増結セット6組でも組成することができます(ライトが点灯できませんが)。

図9-2はカーペット組み込み時代です。残念ながらカラオケ連結編成の12両編成の例を見つけられませんでしたが、きっと存在していたことでしょう。この編成を組む場合も、図9-1の例と同様の製品組み合わせで実現できます。もちろん、カーペットカーが必要なので、必ず基本セットか改良品を1セット以上購入する必要があります。

図9-3はオハフを少しケチって5両用意した場合の最長編成で、11両編成が組まれています。1988年7月の編成記録からで、当時は11両が最長でした。オハ51非冷房車が含まれていますので、改良品の当該車両が活用できますし、非冷房車の代わりに冷房車で同様の編成を組んでも問題ありません。基本編成が5両の時代であればこれと同様の編成が組まれた可能性が十分ありますので、1988年のほか1992~1993年の編成としても違和感ありません。この編成は改良品1+基本1+増結1の組み合わせで再現できるので車番を改番する必要もなく、模型で再現するには一番現実的な組成かもしれません。

 

さて、長々とマイクロエース製品について駄文を連ねてみました。細部まで気にするとなればいろいろと注意すべき点は多く挙がりますが、模型ですから各々が好きなように楽しめれば良いものです。特に改良品については、マイクラエース特有の繊細な印刷表現も相まって印象把握の良いものになっていますので、細かいことは気にせずに楽しめればそれが一番かと思います。

それから、この記事ではオハ51の時代設定など「理論上あり得なかったもの」と、「単に私の資料にないだけのもの(=あり得た可能性が無いとは言い切れない)」とがあり、両者ははっきりと区別して記述したつもりです。この記事で否定されているからといって、くれぐれも「絶対に存在しない」と思われませんようお願いしないと思います。間違っても、「このブログでこう言われてるからその編成は間違っている」などと他の方への指摘をされませんよう……。

 

記事が長くなってしまいましたので、一旦この辺りで記事公開に踏み切りたいと思います。TOMIX製のN・HO製品については記事が書け次第、この記事に追加または次の記事で紹介したいと思います。

 

ひとまず、今日はこれにて。

 

(後日追記)続きはこちら