新綱島検車区業務日誌

主に模型いじりの記録を、備忘録として。

【いろいろ整備】TOMIXの北斗星(JR北海道)3種を一気に整備しよう(その1)

今日の模型弄りです。

 

寝台特急北斗星」。青函トンネルの開通に伴って登場した、事実上「日本初の豪華寝台特急」にして、「最後の定期寝台特急」であり、その存在は趣味者のみならず一般の人々まで広く知られる存在でありました。東京札幌間という、既に航空機のシェアが大半を占めていた区間に、あえて3往復もの定期寝台特急を設定し、しかも繁忙期はかなりの乗車率を誇っていたというのですから、隔世の感を感じずにはいられません。

その後は利用客の減少や、北海道新幹線の工事の進捗により本数が減少、末期はついに「カシオペア」との隔日運転になるなど凋落した北斗星ではありましたが、JRが「豪華寝台列車」を維持するために、ン十万の高額プランを用意しなければペイできないことは昨今のクルーズトレインの設定内容を見ても明らかでありますので、定員差を考慮しても「北斗星」は破格と言え、いわば国鉄の遺産によって辛うじてその姿を維持できていた砂上の楼閣のような存在だったと言えます。仮に連日100%の乗車率を維持していたとしても、代替車両を新造するだけの採算は取れなかったでしょうから、むしろ民営化と青函トンネル開業によるお祭り列車が、よくぞ20年以上も残ってくれたと感謝すべきなのかもしれません。

 

さて、模型を弄る前に、私と北斗星の経緯について話させてください。

北斗星への乗車が唯一叶ったのは2007年、私が中学2年の時の夏休みでした。当時所属していた鉄道趣味サークルの夏の定例研修旅行で北海道を鈍行で一周した帰路、誘ってくれた先輩方と同期合わせて4名で、札幌発上野行きの北斗星2号に乗ることができました。まだ2往復が定期で残っていた時代で、エルムの設定は無くなっていましたが、旧3・4号が81・82号として繁忙期に運行されていた頃です。北斗星2号はJR北海道持ちの列車で、乗車したB寝台車は4人で使えば個室のように閉め切ることのできる「セミコンパートメント」車でした。

もう碌に写真も残っておらず無念でならないのですが、幸いにも当時同行していた同期が編成車番を記録していてくれました。

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編成下の記号、特にアンダーバー以降は形態分類のため便宜的につけたものです。

この乗車経験があったので、TOMIXから「北海道編成II」が発売された当初、初回ロット限定でDD51が付属しているということで増結セットだけを購入していました。基本セットは後から買うつもりでしたが、買えるだけの金額が貯まる前に模型への興味がフェードアウトしてしまったような記憶があります。
基本セットの購入が果たされたのは、それからおよそ10年が経過した2018年でした。模型趣味に復帰して「はまなす」の増結セットを探していた時、たまたま中古店で基本セットのみの販売を見かけて購入したものです。当時は知らずに購入したのですが、「北海道編成II」は途中でマイナーチェンジが行われ、床板のTNカプラー対応などの改良が加えられていたそうです。新旧製品が混ざることになりましたが、見た目は変わらないので気にせず混結させています。

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写真は当時10年越しにフル編成化の夢が叶った北斗星北海道編成。知人のEF81-81を借りて記念撮影したシーンです。

この「北海道編成II」は、発売当時の北斗星1・2号の編成をよく再現しているのですが、せっかくなので乗車した際の車番に設定しようとしたところ、乗車した編成と製品の形態が微妙に合わないことを知ってしまいました。これは、TOMIXの車両設定がおざなりというわけではなく……北斗星用客車、特にJR北海道の車両の形態があまりにも複雑すぎるのです。

例えば、ツインDX用のオロネ25形は、北海道に501〜503と551がありますが、種車の形態差に由来して501と502・503では窓の大きさが異なり、551は2階建構造になったためそもそも車両の構造自体が大きく異なります。ミニロビー付きのソロ車であるスハネ25形に至っては、窓割または車体帯の巻き方の違いなどによって、在籍した501〜503の3両全てが別の形態を取っています。

これら個体差というには違いすぎる相違点を確認しながら、乗車した編成そのものを作るのはあまりにも根気のいる作業で、当時そこまでするつもりはなかったのです。ところが、その後TOMIXから「3・4号(JR北海道編成)セット」の発売が予告され、そこには乗車編成と模型の相違点の1つであった、「マイクロスカート付きカニ」と「アルコン帯スシ」が含まれていたのです。

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それがこちら。北斗星3往復時代の3・4号は、JR北海道JR東日本とで1編成ずつ用意する形で運行されていました。それ以前の2往復時代、北海道持ちの1・2号と東日本持ちの3・4号とでは編成中の車種構成が異なっていたのですが、3往復化後の3・4号では共通仕様のものを用意することになったため、元々東日本車にしか存在しなかった全室ロビー車をJR北海道が1両だけ用意したり、逆に北海道にしか存在しなかったロイヤル2室+ソロ10室のロイヤル/ソロ車を東日本がこれまた1両だけ用意したりと、形態の複雑さがさらに極まることになっています。このセットはそんな3・4号の北海道編成を再現したもので、JR北海道車を用いてJR東日本編成を作ったようなチグハグ感が楽しめます(尤も、それを"チグハグ"と感じることができるのはある程度北斗星を勉強した趣味者だけだと思いますが……そんなニッチな編成でも製品化できるほどに、ニッチな趣味者が多いというわわけですね)。

ここからカニとスシを1両ずつ既存の「北海道編成II」と交換することで乗車時編成に近づくのですが、それでもまだ乗車編成が完成しないのと、使わない車両の一部を友人に売却する予定(後に中止)があったことから、当該カニとスシの車番を貼っただけでカプラーの交換も行わないまま仕舞い込んでいました。

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そういえば一度だけ運転会に持ち込んでいました。一番左は別の友人のKATO車(DX編成)で、その右が「北海道編成II」、そして「3・4号(北海道)」「はまなす」の順です。

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思えば、ここで複数編成を並べたことで、形態違いとはいえ同一列車を複数所持することにさほど抵抗を感じなくなってしまったような気がします。

そして、昨年末ついに「1・2号セット」が発売され、足りなかった2両がついに揃ってしまいました。
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このセットは北斗星1・2号が1990年7月改正で12両編成になってから、1991年秋頃にB寝台車の個室化が始まるまでのごく短い期間を再現したもので、それまで製品化されていなかったJR北海道北斗星車がこれで"だいたい"コンプリートされました。もともと3・4号のために作られていながら「3・4号(北海道)セット」に含まれなかった2階建ツインDXを筆頭に、微妙に形態が異なる車両達がだいたいここに収まっています。「個室車ばかり」というイメージのある北海道編成ですが、この頃はまだ編成中半数が普通の「開放ハネ」です。

こちらも購入後全く手をつけずに仕舞い込んでいましたが、今回意を決してこれらの入線整備を施すこととし、念願であった「乗車時の編成を再現する」ということをやっていきたいと思います。
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とりあえず、2ケースに別れたままでは作業がしにくいので、12両ウレタンを用いて一旦説明書通りの編成に組んであげます。

それでは、まずは組み替え方法を整理しましょう。

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あまりにも訳が分からなくなってきたので自作した表です。太字+黒枠のものが乗車時編成の車番を当てはめたもので、「北海道編成II」を基本に他の編成から2両ずつを入れ替えれば良いということになります。この表を作るまでの下調べは計り知れないほど……。

どれも同じ号車同士の入れ替えなので、「北海道編成II」と他方を単純に入れ替えるだけ。これなら入れ替えた先も編成として問題なく成立します。

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組み替え後はこうなります。

それでは、模型弄りに入っていきます。まずは車両交換です。
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こちらは電源車カニ24形。北海道には501〜503の3両が在籍しいずれも0番代からの改造でしたが、マイクロスカートを装備する初期車を種車としたのは501のみです。

「北海道編成II」及び「1・2号」に収録のカニはスカートのない502,503仕様です。乗車編成は501なので、501が入っている「3・4号」と交換します。
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次にSA1/B2(ロイヤル・デュエット)車オロハネ25。551〜554のうち、554は通路側の窓割が異なります。車体が共通の551〜553のうち、553はエンブレムの位置が異なるようです。

「北海道II」には553(写真上)、「1・2号」には554(写真下)、「3・4号」には551または552が収録されていて、乗車編成には554が繋がれていましたので、「1・2号」のものと交換です。
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食堂車スシ24形。スシなんだから寿司を出せば面白いのですが、フレンチのコースでは出せないでしょうね。

北海道車スシの形態差は、追加改造の508の帯がいわゆる「アルコン帯」になっている点です。501〜503は通常の1本線なんですね。
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後の改良で501〜503については調理室部分の窓が固定窓に改造されています。

北斗星II」は固定窓改造後の501,502、「3・4号」が508、「1・2号」が固定窓化以前の501,502のようです。503は屋根上に大型のベンチレーターが載っており、これはまだ製品化されていないようですが、うっかり「北斗星II」のものに503を貼っていました。どちらにせよ乗車編成は508だったので、「3・4号」のものと交換します。
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ミニロビー付きソロ車スハネ25形。北海道のみに在籍する形態で501〜503がありますが、前述の通り3両全車が仕様違いという曲者です。501と502では帯の巻き方が異なり、「北海道II」には501(写真上)が、「1・2号」には502(写真下)が入っています。「3・4号」は東日本と編成を揃えるため、ミニロビーではなく北海道車で唯一の全室ロビー車であるオハ25 551が入っています。窓割の異なる503は「混成編成セットB」にのみ収録されているとのこと。

今回は車体形状と帯のみ比較して交換を実施しましたが、実際にはさらに「手摺りの形状」や「クーラー形式」なども比較的メジャーな相違点として挙げられるようです。手摺りのエラーはどうしようもないですし、クーラーは後からでも交換が容易なので、ここでは一旦気にしないことにしています。

長くなったので一旦区切りにします。次回は組み直された編成ごとに車両整備を行なっていきましょう。

 

なお、この記事を書いた後に知ったのですが、北斗星車の細かい形態差とNゲージ製品の分類表を作られた方がいらっしゃいました。

http://smr.o.oo7.jp/24hokutosei.html

私が気にしないことにした、もしくは気づかなかった差異も丁寧にまとめられていますので、これから北斗星について検討される方はご参考にされると良いかと思います。

 

ひとまず、今日はこれにて。

 

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