新綱島検車区業務日誌

主に模型いじりの記録を、備忘録として。

【入線整備】KATO 14系急行「ニセコ・宗谷」といいつつ実際は単に「ニセコ」だよねセット入線

今日の模型弄りです。

 

◆おことわり◆

例の「海峡」記事はまもなく「その5」が書き終わるというところまで来ているのですが、この先もう少し時間がかかりそうなので入線記事をもう1本先行させます。

 

KATOから数年前に発売された「ニセコ・宗谷」セットの基本・増結の各セットが揃ったので、入線整備を行っていきます。

基本セットは去年の秋頃に購入済みでしたが、そのまま「積み模型」になっていました。春に増結セットを購入したので、ひとまず中身を見ていきます。

 

(注:今回はだいぶ愚痴っぽく……というか文句ばかりな記事になってしまっていまいました。特にKATO製品が好きという方は読まれない方が良いかもしれません)

 

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製品タイトルは「ニセコ・宗谷」ということですが、郵便車・荷物車に14系が7両という編成は「ニセコ」そのものでしかなく、宗谷にするには郵便車や荷物車が不要ですし、14系ハザ(座席車)だけで組める下り列車はともかく、上り宗谷は別に寝台車が必要です。14系ハザだけで組めるという意味では天北なども同条件なわけで、なぜわざわざ「ニセコ・宗谷」と併記したのか不思議です。

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私がこのセットを購入したのは、「ニセコ」や「宗谷」を作りたかったというよりは、別のよからぬ企みのためなのですが、それにはまだ役者が足りませんので、それらが出揃うまでは表記どおり「ニセコ」として走らせてやろうかと思います。

ニセコ」の牽引機はどれも持っていないので、ひとまずDE10に牽かせてみました。オレンジ色のDLと青い客車が良いコントラストです。
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テールマークも眩しい「ニセコ」号、かつては荷物車込みの10両ほどをC62が重連牽引するという姿でその名を馳せましたが、残念ながら山線越えの需要は年々減少し、DL牽引化と14系化を経て1986年に臨時化されました。臨時化後はキハ56が数両のみという非常に寂しい姿だったそうです。

かつて北海道には旧型客車による長大編成が数多く運転されていましたが、例に漏れず年々減少し廃止や気動車化、特急化が行われ、生き残った列車についてもほとんどは1981年に本州で余剰化した14系が北海道向け500番代として入線したことで置き換えられてしまいました。「ニセコ」や「宗谷」はそうして14系化されながら客車列車として生き残った(特に宗谷は気動車列車を客車化した珍しい例)数少ない列車のうちの一つですが、「ニセコ」は民営化を待たずに廃止(臨時気動車化)、「宗谷」や「天北」などものちに気動車に置き換えられたことは良く知られているところです。

……と、まあそんなことはどうでもよくて、とにかく目の前にニセコ号があるので入線整備を施していきましょう。

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荷物車はさておきまずは14系。「ニセコ」で荷物車と逆側に付き機関車と連結することになる7号車スハフ14の車掌室側をナックル化します。

このスハフ14には4号車の号車札が印刷済みです。基本セットだけで最末期の4両編成を再現できるようにしたものでしょう。フル編成にして7号車として遊ぶには付属のシールで7号車に書き換えるよう案内されています。他の1〜6号車は表記どおりです。

KATOは車番のみならず号車札に種別札、さらには方向幕まで印刷済みで、開けただけで格好がつくのは良いのですが、特定列車を作りたい身からするとむしろ手間が増えた感があり困り物です。この点があるので、私は極力KATOの客車製品を買わないようにしています。あれこれ繋ぎ変えて楽しめるのが客車の魅力なのに、それをメーカーが封じてしまっているのですから。
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カプラーは全車がボディマウント式で、機関車と連結する部分はアーノルドカプラーになっていますが、簡単にナックル化できるように作られています。

また、ナックル装着時はジャンパ栓等が再現されたバージョンのカプラーベース(なんと言えばいいんでしょうか、カプラーと床板の間に入るパーツです)が選択でき、交換用のナックルと一緒に付属しています。
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交換するとこんな感じ。そして、向かって左側に何やら穴が空いています。
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このジャンパ線パーツを取り付ける穴のようです。ケーブル付きと栓のみの2種類が選択できます。

実車写真を見てみると、編成端にはケーブルが伸びており、中間連結面では栓だけになっているようなので、それを参考に取り付けてみます。

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取り付ける前に、極細マッキーでケーブルの部分を黒く塗ってみました。以前はまなす用の14系で青いまま取り付けたところ格好が悪かったので先人に習って黒く塗ることにしたのですが、塗料を筆塗りするのが面倒なのでマッキーで済ませてみました。
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取り付けるとこんな感じです。どうでしょう、マッキーで十分な気がします。
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TOMIXの14系500番代にも同様のパーツがありますが、KATOはケーブルの先を嵌め込めるように作られていました。これは嬉しいですね。
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どうでしょう、だいぶ印象がよくなった気がします。

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さて、今度はもう一方、1号車側のスハフ14もナックル化していきます。

こちらのカプラーには、悪名高き「KATOカプラー伸縮密自連型」が装着されています。このセットでは両端のアーノルドカプラーの部分を除いた全ての連結面でこのカプラーが採用されていて、連結面間隔が実感的な反面、他のカプラーとの互換性が全く考慮されていない、私のように組み替えて喜ぶユーザーにはまさしく天敵のようなカプラーです。
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このように、たしかに連結面間隔は理想的です。伸縮するのでカーブも問題ないのですが、いかんせん互換性が邪魔をします。途中駅で切り離して、この部分に機関車を連結する……といった遊び方が全くできないのです。

KATOはマグネティックカプラーのような連結解放ギミックを売り出したり、変換式テールマークやクイックヘッドマークのように色々な列車に見立てることのできるギミックを採用したりしていながら、一方でこんなカプラーを使われてしまっては全くどうしようもありません。機関車と連結できないカプラーを、たとえ中間連結面だとしても客車に採用するべきではないはずです。
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電車用の伸縮式密連カプラーと同様の機構です。同じ仕組みで交換用のナックルカプラーがあれば文句はないのですが、今のところは存在しません。

連結器自体も非常に小柄で、スケール的には良いのですがナックルカプラーとの互換性は考慮されておらず、TNカプラーとの連結のように「若干の加工で連結できるようになる」といったこともありません。
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……とまあ散々文句を言ってしまったのですが、実はこの部分に関してはナックル化できるように7号車側と同様の交換パーツが付属しています。
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なので手順どおりやればナックル化できるので、この点に問題はありません。
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先ほど同様にジャンパ線パーツを取り付けて、こちら側は完成です。「ニセコ」運用時は荷物車が付く側なので、KATOお得意の「変換式トレインマーク」をくるくる回して「天北」を表示させてみました。「ニセコ」「宗谷」のほか「天北」「急行」が搭載されています。「はまなす」や「海峡」を入れろとは言いませんが、「急行」より「大雪」を入れた方が喜ぶ人が多い気がします。
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ナックル化したスハフ14同士の連結面。ちょっと間隔が長すぎるのですが、ナックルを短いものに交換してしまうと逆に狭まりすぎてしまうようです。いずれ対策を考えたいところですが、「ニセコ」として使う限り両者を連結させることはないのでひとまず保留です。

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お次は郵便車、スユ15です。郵便車-荷物車-荷物車-14系客車の順で連結され、荷物車(マニ50)の2両は下り列車のみ連結されます。
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こちらも、スハフ14と同様のボディマウント式アーノルドカプラーが装着されています。よく似ているんですが、スハフ14のものとは爪の部分が微妙に異なり別物のようです。そうやって規格を乱発しながら、しかもユーザー向けに整理しないので余計ややこしくなるんですよね。
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無事、交換完了です。

さて、スハフ14の2両とスユ15のカプラー交換が完了しました。全て製品付属のパーツで完結しているので、その点は素晴らしいと思います。ところが、ここまで作業してからようやくあることに気づきました。

マニ50用の交換カプラーが無いんです。

失くしたとか、中古品だから付属してなかったとかではなく、どうやら元から付属していないようなんです。おかしくありませんか?

「14系単独で宗谷になります、郵便車と荷物車を繋ぐとニセコになります。」わかります。素晴らしいですね。

「機関車と連結できるようにナックルに交換できます。」これもわかります。ありがたいです。

「14系単独で宗谷として遊ぶためにカプラーを交換したら、もう荷物車には連結できません。」わかりません。

おそらく、スユ15で使用したものと同じパーツを調達すればナックル化できそうです。しかし、やはり人気なようで(当然でしょうね)どこも完売しています。補修用交換パーツ、いわゆる「Assyパーツ」扱いなので、同じパーツを使用する製品が生産されない限り、パーツの在庫補充はありません。

連結して遊んでナンボな客車製品で、過去製品どころか現行の機関車とすら連結できないようなカプラーを装着させておきながら、交換パーツの店頭在庫は無く、時期を狙って買わない限り入手不可能。

このカプラーには以前「はまなす」を買った時にも泣かされました。ただその時はTOMIXと1両単位で混結させようとしていたので、そこは自己責任の世界として割り切れました。

今回の「ニセコ・宗谷セット」では、製品名どおりの列車を、説明書どおりに遊ぼうとしているだけにも関わらず、それが満足に行えないのです。

このカプラーの取り扱いが面倒なのはある程度わかっていたので今まで避けていましたし、今回はそれを理解しつつ、欲しい車種なので割り切って購入したつもりでしたが、ここへきて納得できなくなってしまいました。

 

書けば書くほど腹が立ってきました。スユ15用の交換用カプラー、次にいつ生産されるのかわかりませんが、意地でも手に入れて、今回購入した全車両の全連結部をナックルカプラーに交換してやろうと思っています。そして、この点が改善されない限り、二度とこのカプラーを装備した客車セットを購入しないでしょう。

今回のこのセットは、いずれ別の列車に仕立て直すつもりで購入したものです。それに必要な他の車両が揃うのが先か、カプラーを交換し終わって晴れて「ニセコ」としての編成が再び組めるようになるのが先か。

半年間の「積み模型」期を終えて晴れての入線整備と相成ったはずが、再び「積み」に戻ることになりました。車両自体の出来栄えが良いので、誠に残念でなりません。

 

愚痴・文句ばかりでお読みくださった方には大変不快な思いをさせてしまったかと思いますが、何卒ご容赦ください。

次回以降はまた、楽しく模型を弄るだけのブログに戻ります。