新綱島検車区業務日誌

主に模型いじりの記録を、備忘録として。

【入線整備】TOMIX 50系客車(旧製品)

今日の模型弄りです。

 

国鉄の歴史において、「量産されながらほとんど活躍の期間を与えられなかった車両」を挙げるなら、旅客車の筆頭は50系客車になるでしょうか。

元々国鉄は、普通列車用の客車を新製するつもりがなく、ごく一部の例外を除いて「普通列車用に」客車を新製したことがありません。客車において、常に優等列車用の車両のお下がりを普通列車に回し続けてきた国鉄にとって、国鉄末期においてもそんな贅沢な発想はなく、動力近代化計画でいずれ電車または気動車に完全置換するつもりだったようです。

ところが地方ローカル線の電化や気動車への置き換えは思うように進まず、1970年代に入っても戦前製のスハ32やオハ35といった古い旧型客車が大量に残る結果になりました。旧型客車全般に言えることですが、デッキ付きでドアが狭く、しかも手動ドアで、客室内にはシートピッチの狭いボックスシートがずらりと並んでいるという構造は、普通列車用の設備としてふさわしいものではありません。労使間対立や財政状況の悪化といった問題に直面していた国鉄が、朝晩の通勤ラッシュでしか使わないようなそれらの車両を、新製の近郊電車やディーゼル車で置き換える余裕はどこにもなかったのです。

かくして国鉄は、いずれ近いうちに使わなくなると知りながら、時代に逆行した500両もの新製客車を、普通列車用として配備することになりました。「レッドトレイン」と呼ばれた真っ赤な客車は、幅が拡大された自動ドアを装備し、座席には角度をつけてシートピッチも拡げたモケットを奢って利用客に歓迎されたことでしょう。

1977年から1983年にかけて製造された50系は、しかし民営化直後の1988年にはさっそく余剰車が発生し、1989年から廃車が始まる事態になりました。1995年には大半の運用が消滅し、九州の筑豊地区で朝晩のわずか2往復に使用されるのみとなっていました。2001年には完全に運用がなくなり、快速海峡に転用されて車両についても2002年の列車廃止で用途がなくなっています。

民営化後の各旅客会社が国鉄時代の想定を上回るペースで電車・気動車化を進めた結果ではありますが、早くて7年、長くても25年程度で廃車になってしまったことを考えると、せめてあと何年か早く製造してくれていればと悔やまざるを得ません。

冷房がなかったのも問題でした。新製時は普通列車の非冷房は当たり前でしたし、一説には冷房の搭載を考慮して車体の設計を行なっていたとあるものの、その冷房用電源については何も考えられていない有様でした。EG用の電源が使える東北地方では、あっけなく急行電車のお下がりや701系への置き換えが進行し、逆にEG設備のない九州配置車が末期まで残存したのです。その九州では、座席区画を潰して床置き式の冷房を搭載していました。当時の設計者に未来を見通せと言うのは無理な話ですが、50系にとって皮肉な結果であったことは否めません。

 

と、さっぱり書くつもりがいつのまにか1000字を超えていました。

当区では、KATO製旧客の急行津軽の牽引用のつもりでED75形0番代初期車を所有していますが、正規の牽引機ではないこともあって他の牽引対象が欲しいと思っていました。最近ED75の魅力にハマり、あれこれ調べたり写真を眺めている間に、ED75とセットで頻出する50系が気になっていました。最近、某オークションに旧製品ですが安く出品されているのを目にして、つい落札してしまったものです。

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点灯確認。旧製品なので屋根上のベンチレーターは屋根と一体成形です。テールランプはトイレ側(後位)のみ点灯するので、編成を組む場合は片方を方転させるか、ライトユニットを移設するかになります。オハフの向きがバラバラな例はあったのでしょうか……?(後日追記:JR化後のものですが、YouTubeの動画を見る限りバラバラのようでした)

ED75形0番代初期型はJRに1両も継承されなかったので、これを牽引機とするためには必然的に国鉄時代の設定になります。86年版の車両配置表は鉄道ファン図書館で閲覧できるので、これを参考に車番を決定したいところですが、ひとまず見送り。まずはカプラーを交換します。

その前に……

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手持ちの星釜がまだアーノルドカプラーのままなので、連結できるうちに記念撮影しておきます。この組み合わせはJR化後、ED75の配置数が減った際に青森滞泊のEF81を有効利用した普通列車牽引がありました。JR化後は当然、客車にもJRマークがあるのでナンチャッテ編成ですが、なかなか浪漫のある組み合わせです。一度見てみたかった……。

 

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さてカプラーです。デフォルトはもちろんアーノルドカプラー。旧製品ですが、TNカプラー取付け対応になっています。

最後尾を台車マウントにしたくはないので、何かしらの方法でボディマウント化するつもりですが、とりあえず連結を優先して台車マウントのままナックル化します。
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寸法がピッタリすぎてなかなか入りませんでした。首も振りません。まあ、暫定ですから自動解放しなくても構わないでしょう。
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交換後。アーノルドカプラーよりずっとマシですが、やっぱりジャンパ栓をつけてあげたいところです。要検討です。

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カプラーが首を振らないなら別に無理してナックルを押し込まなくてもいいんじゃないか、ということで他の箇所はKATOカプラーにしました。オハフは両側とも、最後尾にくる可能性を考慮してジャンパ線なしにしています。

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中間にしか入らないオハはジャンパ線付きに。いつものセオリー通りですが、オハフ率の高い50系だとジャンパ線が半端な連結面ばかりになるので、編成を固定化して中間をジャンパ線付きに統一した方がよさそうですね。

いずれオハフのボディマウント化や車番貼付けのために再度弄ることになるので、その時にでも再交換します。

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さて念願のED75牽引で記念撮影。パンタが片方壊れているので拡大しないでください。
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連結面です。マグネティックナックルにすると解放ピンがブレーキホースっぽく見えるので好きです。ただ機関車はもっとジャンパ栓でゴチャゴチャとさせたいですね。いずれいずれと言いながら何年経ってもそのままになってそうですが……。

運転会後レールの通電が悪くギクシャクするので、今回は動画はなしです。クリーニングカーで掃除しきれないポイント部に汚れが溜まってるようで、ポイント通過のたびに減速していてみていられません。レール清掃すらできていない現状、お察しください。

腰を据えての整備・改造をする余裕がないので、今後も「最低限の入線整備」記事が続きそうです……。まあ、最低限すらされていない積みプラモならぬ積みNゲージが増えているので、丁度いいかもしれません。

 

ひとまず、今日はこれにて。