新綱島検車区業務日誌

主に模型いじりの記録を、備忘録として。

【受託整備】KATO 227系入線整備

今日の模型弄りです。

 

H氏車両の入線整備代行、今回はKATOの227系です。

 

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227系はTOMIX・KATOの両社から製品化されています。この2社の競作になった場合、一般的にKATOは「印象把握の良さ」、TOMIXは「忠実なスケール再現」が特徴として挙げられます。

この227系は、シンプルながらさりげなく曲面を多用したデザインに、特徴的な転落防止幌、ベタ塗りではなく細帯が何本も巻かれた側面帯など模型化するに際してハードルとなる箇所がいくつもあり、特に側面帯については両社ともに実車本数が再現できていないなど苦心の跡が見られます。


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実車は2連と3連を適宜組み合わせて運用されており、模型でもこれを再現できるようKATO製品では2両セット、3両セットが通常品としてラインナップする他、動力なし3連を含む6両セットが特別企画品として設定されています。

対するTOMIXは3両基本セットと、モーターなし増結セットは2両と3両をそれぞれラインナップ。2両単独編成は組めない設定ですね。


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まずは付属品チェック。227系「Red Wing」の代名詞にもなっている、運転台側転落防止幌のパーツと電連パーツ、そしておなじみ行先パーツです。


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転落防止幌パーツですが、このように2種類が付属しています。説明書にはたしか「A」「B」と記載されていたかと思いますが、ここでは「大」「小」と書くことにします。

この「小」、一見中間連結部用にも思えますが先頭部用です。本来ならばもちろん「大」を装着したいところなのですが、カーブで幌同士が接触してしまうために「小」が付属しているとのこと。

TOMIXも同様に2種付属させているようですが、KATOのものとは違って「小」にも赤と黒の塗装を入れているそうです。この辺にも設計思想の違いが出ますね。KATOはあまり連結面のディテールを重視しない印象があります。


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まずは「大」を装着してみました。未装着との比較です。何も付けていないと顔の横に大穴が空きますので、ここは全ユーザーに取り付けていただきたいところです。手で押し込むだけで付きます。


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「大」を装着してそのまま連結すると、その時点でこのように幌同士が触れ合います。これなら転落のしようがないですね。


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もちろんこのまま走らせてしまうと幌同士が当たってしまってカーブが曲がれません。

KATOお得意の、連結時はカプラーを前に押し出す機構がついています。裏返しにして、ツマミをスライドさせます。


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すると連結面間隔が開きました。だいぶ開いてしまった印象ですが、これなら幌が接触せずに曲がれるのでは?と思い試してみます。


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TOMIXの常用最急カーブであるC243に載せてみたところ、このように脱線には至らないものの幌同士がしっかり接触してしまっています。S字カーブの通過は無理でしょうね。


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というわけで、編成にモーター車の入らない増結側の幌を「小」に交換しました。これなら、基本側3連単独で走らせても違和感はないですし、連結時の接触の問題もクリアできます。

ついでに電連パーツも取り付けました。ただ単にはめ込むだけなのですが、案外コツが要求されるようで1個目を付けるのに苦戦しました。


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転落防止幌と電連を装着した姿で再度撮影。国鉄車の掃き溜め等と揶揄された広島地区が新型車両で統一される日が来るなど、かつては想像もできませんでした。部外者ながら非常に存在感を感じる車両です。

 

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実車画像です。

広島地区は趣味目的よりも観光で訪れることの多い場所であまり乗車経験はないのですが、この時はたしか研究室の研修で広島に泊まった時に、早起きして撮影に出たものだったかと思います。

 

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2017年の夏でしたが、国鉄車の運用は既に朝晩ラッシュ運用だけになりつつあった頃だったかと思います。10分間隔でやってくる列車を撮影しながら、待てども待てども227系ばかりがやってくることに驚きを覚えました。

 

まもなく3月のダイヤ改正です。この広島の例を挙げずとも、かつて当たり前に走っていた車両が年々引退していきますが、その多くは毎年3月のダイヤ改正が節目になっていますね。今回の改正でも、首都圏では185系、地方では北陸の415系413系などが引退するとして話題になっているようです。

車両はいつか引退していきますが、写真や動画、そして模型はそうではありません。泣けど喚けど二度と目にすることのできない「あの頃」をずっと手元に置いておくことができる……。だから私は模型を続けているのでしょう。現役車種をあまり買わないのも、その辺が理由でしょうか。

たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。

何事も狼狽えずにどっしりと構えて生きていきたいものです。

 

ひとまず、今日はこれにて。