新綱島検車区業務日誌

主に模型いじりの記録を、備忘録として。

【入線整備】マイクロエース 西武4000系「52席の至福」(その1) 室内灯整備

今日の模型弄りです。

 

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52席の至福」という列車をご存知でしょうか。

いま、ローカル線の増収策の一環として、車内で食事を提供する「レストラン列車」を運行する事業者が増えています。これらはかつて特急・急行列車に当たり前に連結されていた「食堂車」とは違い、地域の名産や郷土料理を取り入れたり、高級レストランのシェフの監修を受けたりして、日常とは異なるワンランク上の体験を提供するものが多いようです。

52席の至福」は、昨今のレストラン列車ブームの中2016年から運転を開始した西武鉄道によるレストラン列車です。この手の列車は地方のローカル線で運行されることが多いのですが、この「52席の至福」は池袋や西武新宿など東京の都心部を発着する珍しいケースです。


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車両は西武4000系を改造した、4000系「52型」電車。各車両は飯能方1号車から順に春夏秋冬をイメージした装飾が施されています。


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2・4号車が客室車両、間の3号車がキッチン車両となっており、1号車はイベント用の多目的車両。通常の運行では1号車は使用されないため、4両中たった2両、「52席」のみが設けられた贅沢な列車です。


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模型としては昨年秋、マイクロエースから西武4000系(SIV車)と同時に発売されました。どちらも発売と同時に確保してありましたが、整備方法に悩み入線整備を後回しにしていました。今回はこの「52席の至福」に入線整備を施していきます。

 

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編成全景。背景がうるさくてすみません。

このように客室車両の2・4号車にはテーブルランプが再現されています。この再現のために、4000系では通常2号車に組まれる動力ユニットが3号車に移され、それに伴って床下パーツも専用のものが用意されています。

この製品、両数のわりにそこそこの値段がしたのですが、1両1両異なる装飾が綺麗に印刷されていることや、車内の再現、これらの設計変更などを考えれば納得できる価格でしょう。

 

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ただ、誰しもが気になってしまうこの前面が玉に瑕。マイクロエース「あるある」ですが、スカートの開口部が広すぎて間の抜けた顔になっています。

スカートそのものの解決は後に行うとして、とりあえずカプラーをTN化してみました。西武用に大量在庫させているJC6328です。TNカプラーと同寸法の爪を利用して取り付けると、いい具合の見た目になりました。

 

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連結面。かなり寄っていますが、これでも走行に支障ありません。さすがTNカプラーです。

前回の227系のように側面寄りに突起でもあれば別ですが、この車両のように丸まっていれば全然問題ないのがBMTNカプラーの強みですね。


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先頭がポン付けで済むことを確認したら、中間連結面のカプラー交換へ。いつも通り、従来方式のKATOカプラー密連型に交換します。


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相変わらず、モーター車は動力ユニットをバラさないと台車が外れません。


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マイクロ製品が入線するたびに動力をバラしている気がします。今回はカプラーを替えるだけ。


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交換完了したら元に戻します。


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ちなみに動力ユニットの蓋にはこのように室内形状が再現されています。キッチン車両でして、ここにモールドされている長いテーブルで料理が盛り付けられているようです。


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交換後の連結面。アーノルド時代とさほど変わりませんが、元からそこそこ短いのでこれで十分です。

と、ここまではいつも通り。

 

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この車両の目玉はなんといってもこのテーブルランプ。車内はこのようになっています。テーブルと窓割が合ってないのは実車通りです。

せっかくここまでやって頂いているわけですから、あれを装備させちゃいましょう。


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というわけで、こんなものを用意してみました。庄龍鉄道さんの「グランライト・プレミアム」です。サードパーティ製室内灯としては最もポピュラーかなと思います。


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中身はこんな感じ。ハンダ付け不要版のTOMIX対応品です。自力でハンダ付けできればもっと安く済むのですが、ハンダごてを所持していないのと面倒くさがりなのでこちらで。

当区車両に室内灯を組み込むのは、「レッドアロークラシック」に続きこれが2例目。

前回は“外注”したので、自分でやるのは初めてです。


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本来はスプリングをハンダ付けすべき部分が、このようにスプリングをねじ込むだけで済むようになっています。


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4号車はこのように車端部の窓が埋められている部分にスプリングが来るようになっていました。スプリングの位置を合わせ、不要な部分をカットします。

 

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なお、このグランライト「プレミアム」では照度切替ができます。このようにブリッジダイオードの脇に「H/L」スイッチがあり、これを切り替えることで光量を抑えることができます。


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というのも、室内が明るすぎてはせっかくのテーブルランプの存在感がなくなってしまうのではないかと危惧していました。手前がいま室内灯を「L」で取り付けたもの、奥が未取り付けのものです。よさそうですね。


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続いて3号車……。こちらは、スプリングの取付け位置が隠れるようにはなっていませんでした。しかもスプリング位置がだいぶ中央に寄っています。


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所定の位置に合わせて取り付けると、このように車端が暗くなってしまいました。一方、窓が埋められている部分は内部で煌々と光っているはずです。

これの解決方法は2通りほど考えているのですが、どちらもすぐにはできないのでひとまずこのまま……。


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順番にやって、こちらは1号車の多目的車両。やはり変なところにスプリングの穴が来ています。これも3号車と合わせて要改善といったところです。


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全車の取り付けが終わって点灯試験です。いかがでしょうか?


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暗くしてみました。

一番左だけ明るさが目立っていますが、これは例の照度スイッチを1号車だけ「H」にしてみたもの。実車も1号車はイベント利用を想定して明るくなっています。


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4号車を横から。この車両は「L」設定ですが、もう少し暗くてもいいかもしれません。

そして、左端の窓埋めがされている部分は光が透けてしまっていますね……。


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3号車。やはり右側の窓埋め部分が透けている一方、左側は窓があるにも関わらず暗くなってしまっています。スプリング穴の位置の関係なので一旦このままにしますが、資材調達でき次第改善を試ることにしましょう。

ただ室内灯を組み込むだけでだいぶ分量を使ってしまいました。長いので続きは次回に。

 

ひとまず、今日はこれにて。

【受託整備】KATO 227系入線整備

今日の模型弄りです。

 

H氏車両の入線整備代行、今回はKATOの227系です。

 

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227系はTOMIX・KATOの両社から製品化されています。この2社の競作になった場合、一般的にKATOは「印象把握の良さ」、TOMIXは「忠実なスケール再現」が特徴として挙げられます。

この227系は、シンプルながらさりげなく曲面を多用したデザインに、特徴的な転落防止幌、ベタ塗りではなく細帯が何本も巻かれた側面帯など模型化するに際してハードルとなる箇所がいくつもあり、特に側面帯については両社ともに実車本数が再現できていないなど苦心の跡が見られます。


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実車は2連と3連を適宜組み合わせて運用されており、模型でもこれを再現できるようKATO製品では2両セット、3両セットが通常品としてラインナップする他、動力なし3連を含む6両セットが特別企画品として設定されています。

対するTOMIXは3両基本セットと、モーターなし増結セットは2両と3両をそれぞれラインナップ。2両単独編成は組めない設定ですね。


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まずは付属品チェック。227系「Red Wing」の代名詞にもなっている、運転台側転落防止幌のパーツと電連パーツ、そしておなじみ行先パーツです。


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転落防止幌パーツですが、このように2種類が付属しています。説明書にはたしか「A」「B」と記載されていたかと思いますが、ここでは「大」「小」と書くことにします。

この「小」、一見中間連結部用にも思えますが先頭部用です。本来ならばもちろん「大」を装着したいところなのですが、カーブで幌同士が接触してしまうために「小」が付属しているとのこと。

TOMIXも同様に2種付属させているようですが、KATOのものとは違って「小」にも赤と黒の塗装を入れているそうです。この辺にも設計思想の違いが出ますね。KATOはあまり連結面のディテールを重視しない印象があります。


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まずは「大」を装着してみました。未装着との比較です。何も付けていないと顔の横に大穴が空きますので、ここは全ユーザーに取り付けていただきたいところです。手で押し込むだけで付きます。


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「大」を装着してそのまま連結すると、その時点でこのように幌同士が触れ合います。これなら転落のしようがないですね。


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もちろんこのまま走らせてしまうと幌同士が当たってしまってカーブが曲がれません。

KATOお得意の、連結時はカプラーを前に押し出す機構がついています。裏返しにして、ツマミをスライドさせます。


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すると連結面間隔が開きました。だいぶ開いてしまった印象ですが、これなら幌が接触せずに曲がれるのでは?と思い試してみます。


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TOMIXの常用最急カーブであるC243に載せてみたところ、このように脱線には至らないものの幌同士がしっかり接触してしまっています。S字カーブの通過は無理でしょうね。


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というわけで、編成にモーター車の入らない増結側の幌を「小」に交換しました。これなら、基本側3連単独で走らせても違和感はないですし、連結時の接触の問題もクリアできます。

ついでに電連パーツも取り付けました。ただ単にはめ込むだけなのですが、案外コツが要求されるようで1個目を付けるのに苦戦しました。


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転落防止幌と電連を装着した姿で再度撮影。国鉄車の掃き溜め等と揶揄された広島地区が新型車両で統一される日が来るなど、かつては想像もできませんでした。部外者ながら非常に存在感を感じる車両です。

 

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実車画像です。

広島地区は趣味目的よりも観光で訪れることの多い場所であまり乗車経験はないのですが、この時はたしか研究室の研修で広島に泊まった時に、早起きして撮影に出たものだったかと思います。

 

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2017年の夏でしたが、国鉄車の運用は既に朝晩ラッシュ運用だけになりつつあった頃だったかと思います。10分間隔でやってくる列車を撮影しながら、待てども待てども227系ばかりがやってくることに驚きを覚えました。

 

まもなく3月のダイヤ改正です。この広島の例を挙げずとも、かつて当たり前に走っていた車両が年々引退していきますが、その多くは毎年3月のダイヤ改正が節目になっていますね。今回の改正でも、首都圏では185系、地方では北陸の415系413系などが引退するとして話題になっているようです。

車両はいつか引退していきますが、写真や動画、そして模型はそうではありません。泣けど喚けど二度と目にすることのできない「あの頃」をずっと手元に置いておくことができる……。だから私は模型を続けているのでしょう。現役車種をあまり買わないのも、その辺が理由でしょうか。

たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。

何事も狼狽えずにどっしりと構えて生きていきたいものです。

 

ひとまず、今日はこれにて。

【受託整備】マイクロエース215系M車全検入場

今日の模型弄りです。

 

 

 

昨年秋頃当区に215系が入線していますが、今回は受託整備。上記のものとは別の車両です。今回は母校の先輩H氏ではなく、以前のバイト仲間のS君から。

 

整備内容は、「ジャンク品由来の215系のモーター車の動きが変だから見てほしい」とのことでした。

 

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前回記事にした机上試運転線に載せて。品鶴線の地上区間っぽいですね。

モーター車の動作を見ると、変どころか不動でした。さっそくバラしてみましょう。


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215系の動力ユニットは数ヶ月前にもバラしたばかりです。


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車輪はこんな感じ。そこそこ汚れていますね。


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とりあえずボディを外します。


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動力ユニットにあるツメを丁寧に外すと、このように分解できます。


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動力台車を外しました。相変わらずの中華油です。

マイクロエースの動力車は、この中華油が悪さして不動になったり動きが悪くなったりすることが多く、逆に言えばこれを綺麗にしてやれば復活することが多いです。

……まあ、そんなに経験があるわけでもないのですが。


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今回はクリーナーではなく無水エタノールで洗浄してみます。今までは大切に温存していたのですが、最近ようやく近所の薬局にも無水エタノールが在庫されるようになりましたので、使っていきましょう。


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固化した油だかグリスだかが浮いてきます。流した後は引き上げて、こびりついたものを綿棒や竹串で剥がしていきます。


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綺麗になりました。


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ギア部のこびり付きが酷かったです。


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1両の動力台車とギア周りからこれだけの汚れが取れました。


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元通りに組み立てながら、新品のグリスを補充していきます。


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台車を固定する蓋を被せます。さりげなく裏表があるので注意……。


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座席パーツをパチンと嵌めます。この下の階が隠れてしまう問題がなければ、室内灯を入れてみたいんですけどね……。


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元通り組み直しました。

これで動作確認をしてみると、多少音がしますが、元気に走り始めました。

これにて今回のミッションはコンプリートです。

 

最後に実車画像を。

 

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つい昨日のことですが、まもなくダイヤ改正湘南ライナーが廃止(特急化)されるということで、215系の乗り納めに行ってきました。


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2度も模型弄りをしておきながら、あろうことか今まで全く乗ったことがなかったので、このまま乗らず終いになってしまうよりはと、友人と一緒に小田原まで乗り通してきました。

特徴的な座席ですが、なるほど少しでも多く定員が確保できるような工夫が随所に見られました。片持式の座席下部分は掃除もしやすそうです。

 

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東京駅のホームにはそこそこの数の趣味者が見られましたが、車内はほとんどがサラリーマン風の乗客で各ボックスに1〜2名ほど。小田原まで乗り通したのはほんの20名ほどだったように見受けられました。

この215系がライナー列車にしか活路を見出せなかったのは残念でありますが、民営化したばかりの頃のJRの意欲的な実験作が令和まで活躍できたのはむしろ幸甚だったと言うべきでしょう。面白い乗車体験でした。

 

ひとまず、今日はこれにて。

【入線整備】TOMIX 189系田町車(H102編成)

今日の模型弄りです。

 

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首都圏のJRには、「波動用編成」などとよばれる車両が在籍しており、時折運転される臨時列車や団体列車などの運用に供されています。この任には多くの場合、老朽化し第一線を退いた車両に余生を過ごす場として与えられており、かつては167系・169系など運転されなくなった「急行」用の車両が用いられ、現在は185系など古くなった国鉄特急用車両が使用されていることはよく知られている通りです。

今から10年ほど前、私が中高生だった頃の波動用編成は、上記の167系を引き継ぎ、185系に受け継ぐまでの約10年ほど、183系・189系が使用されていました。

183系列は元々短距離特急である房総地区向けの設計で1両あたり2箇所の乗降扉を設けつつ、後に上越線の「とき」や中央線の「あずさ」等に用いられたように高速性能も十分に備えており、必要に応じて高速走行しつつ、乗降時は定期列車の妨げにならないよう素早く乗降しなければならない臨時列車として運用するには使い勝手のよい車両だったのではないかと推測します。後継の185系もほぼ同様ですが、高速運転性能が183系列より劣るため、中央線むけの波動用編成には、E257系を充当するまで189系が使われ続けていました。

 

さて、当時波動用の183系・189系は大宮、田町、幕張と豊田の各車両センターに配置されていました。田町では、編成番号でH41、H61、H81、H101、H102とよばれる車両がこれにあたり、十の位の数字で編成両数を表わしていました。H41はモーター車の調子が悪かったこともあって早くに廃車になりましたが、残る編成は東海道線を中心に首都圏のあらゆる臨時列車に使用されていました。

特に10両編成のH101、H102編成は、波動用として配置された2003年から東京大垣間の夜行快速列車「ムーンライトながら」を補完する臨時「ムーンライトながら91・92号」の運用を担当し、373系による定期「ムーンライトながら」が廃止されてからも、2013年に185系に引き継ぐまでの間、「ムーンライトながら」の運用を担い続けていました。

 

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画像は、修学旅行用の集約臨に使用されたH102編成です。日光から帰る児童たちを学校近くの駅に送り届けた後、所属区の田町に戻るための回送だったかと思います。モノクラス10両という輸送力を活用して、閑散期もこのように修学旅行列車などで使用されており、波動用としてはかなりの稼働率だったのではないかと思います。

波動用ということで特急マークが外されて少々間抜けた顔つきで、ファン間でも好き嫌いが分かれるところでしたが、当時田町車を見かける機会の多かった私としては、この顔こそが身近な183(189)系の姿でした。

 

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余計な前振りが長くなってしまいました。

今回、TOMIXこの田町のH102編成をプロトタイプとした製品が発売されました。上につらつらと述べていたことからもお察しいただけるように、私にとって相当の思い入れがある車両で、かねてより製品化を強く望んでいたものです。もちろん発表日に購入を決意し、予約していました。


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開封。基本6両に中間車4両を足す形式です。H102編成は晩年、6両に減車されて豊田車両センターに転属していました。今回の製品構成は、基本セットだけを購入することで、転属直後から塗装変更までの期間の豊田M52編成も再現できるようになっています。


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さっそく10両を1つのケースにまとめました。臨時「ムーンライトながら」で一夜を明かしながら旅行しまくった頃の記憶がよみがえります。

確証はないのですが、小学校の修学旅行で乗車したのも、H101かH102だったのではないかと思います。乗車回数としては両手の指で足りる程度ですが、思い入れの深い車両です。


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両先頭車を並べました。

田町の183・189系の特徴として、奇数方先頭車が中央線あずさ時代の「グレードアップ車」で揃えられていることが挙げられます。画像右が10号車、左が1号車ですが、右の10号車は窓が拡大されたグレードアップ車であることがわかります。

グレードアップ車を連結した国鉄特急色編成では、窓が大きい車両とそうでない車両の塗り分け線をどう処理するかという問題が起きていて、編成によっては全車がグレードアップ車に合わせた赤色部分の広い塗り分けを採用したりしているのですが、田町のH101、H102編成ではグレードアップ車のみが広い塗り分けを用いています。冒頭の実写画像をご覧いただくと、その塗り分け線の違いがよくわかると思います。


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さて、弄っていきます。

TOMIXのHG製品ですので、相変わらず後付けパーツのランナーが大量に付属しています。初見で見るとビビるのですが、ランナーの都合で使わないパーツが大量に入っているだけなので、作業量としては大したことありません。


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「上級者向け」の注記があるアンテナ取り付けを先にやってしまいます。治具が付属しているので、位置合わせは苦労しません。ただ開けるだけです。


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先頭車のパーツを取り付け終えました。どこが変わったか分かりますでしょうか。


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台車スノープラウが付きました。地味ですが、大切なパーツです。ただ外れやすいので、接着剤を併用した方がいいかもしれません。

今回もダミーカプラーがいい感じです。大宮車では2編成併結の機会がありましたが、田町車は無かったと思います。


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トイレタンク。こちらは車体にはめ込むだけです。


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列車無線アンテナ。微妙に斜めってますね。直しておきます。

あと撮り忘れましたがホイッスルも取り付けです。信号炎管は取り付け済みでした。


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床下にライトスイッチがあるのですが、なにやら穴が開いています。


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ATS車上子を取り付けろとの指示です。さすが細かいですね。


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製品所定の整備が終わりました。

ところで、写真にすると方向幕が青く写ってしまいます。肉眼だと白く見えるのですが……。


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ここからは独自?の整備にうつります。

トイレ窓はブルトレだといつもステッカーを裏から貼って表現していた(適当な過去記事を参照)のですが、189系ではパーツの厚みが違うからか、ちょっと見た目が納得いかなかったので、今回はガンダムマーカーを使用してみました。


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こんな感じになります。ちょっと厚みが出てしまいますが、まあ塗装するよりは楽なのでよしとします。


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この角度ならいい感じに見えるかもしれません。比較用に、背景に画像検索から出した実写画像をおいてみました。


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こちらはお馴染みジオマトリックスさんの方向幕ステッカーです。去年のうちに、他のものと合わせて発注しておきました。左上が「ムーンライトながら」です。


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ステッカーで隠れてしまうHゴム表現をマッキーで入れてみたんですが、ちょっと汚らしくなってしまいました。やるのとやらないの、どっちがいいでしょう……?

ちなみにこれは両先頭車同士を連結させたところ。上述の塗り分け線の違いがよく分かるかと思います。


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最後に付属インレタを貼り付けて整備完了です。183系・189系の車番は赤色塗装のものと銀色切り出し文字のものの2種類がありましたが、この編成は全車が赤色塗装だったようです。

車番以外の標記類は、ATS標記だけ既成で入っていました。所属標記くらいは欲しいところですね。気が向いたら発注してみます。


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ケースに戻しました。車番や方向幕が入ったことで、「生きた車両」になった気がします。こうやって、買ってきた「大量生産品」のどこにでもある模型を整備して、簡単でも手を加えて「うちの子」にするこの時が何よりも幸せです。

 

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H102編成は全車が189系で統一され、モノクラスなので中間車もひたすらモハ188・189ユニットが並ぶだけなのですが、実は形態に差異があるということで、律儀に作り分けがされています。

パンタの載るモハ188の、クーラーのランボードの違いが分かり易いところで、手前が初期車、後ろが後期車です。他にも違いがあるかもしれませんが、勉強不足でよくわかりませんでした。

基本セットに入る方が後期車、増結セットが初期車とのこと。6両化して豊田に転属した時に、初期車ユニットを外して後期車を残す采配をしたということですね。

 

今回製品化されたH102編成は、田町の183・189系の中でも最も整っていた編成でした。編成が189系だけで構成されていたのはこの編成だけで、H101は中間モハの1ユニットと片方のクハが183系でしたし、H41、H61、H81はクハが189系、モハが183系の構成でした。H101に入る183系のモハユニットが座席が簡易リクライニングシートだったこともあり、ムーンライトながらに乗車する時はその車両を避けて座席を取っていたのも懐かしい記憶です。

今後、他の編成も製品化するのでしょうか。最近はTOMIXもニッチな形態差を作り分けて複数回製品化するようになってきているので、今後の展開にも期待したいところです。

 

ひとまず、今日はこれにて。

【モジュール制作】机上試運転線モジュール作成!(その1)

今日の模型弄りです。

 

先日のメトロ16000系受託整備の記事で紹介した「机上試運転線」モジュールの製作について書き残しておこうと思います。

 

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発端は、従来試運転線として活用してきた「押入れレイアウト」を、諸事情あって一旦解体することになり、解体中の試運転用に別に線路が必要になったことです。

単に机の上に線路を置いておけば事は足りるのですが、同じタイミングで机周りの整理と模様替えを行ってスペースができたので、細長い木板の上に線路を固定し、ついでにバラストを撒いて撮影台兼用ということにしました。


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工作中の写真撮影を失念してしまいました。ホームセンターで適当に買った木板をベースに、同じくホームセンターで買った細い板を転落防止柵として貼り付けています。

貼り付けは木工用ボンドと釘(レール固定用)を併用しています。

線路はTOMIX製ファイントラックを使用、将来的に他のモジュールレイアウトを作成した時に連結できるよう、複線間隔はきっちりTOMIXのものに合わせています。後から考えると、間隔の狭いKATOのものに合わせてもよかったですね。

複線のうち、1線は「ファーストカーミュージアム」用の店頭ユニットから給電する撮影専用線に、もう1線はパワーパックから給電する試運転線にします。


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主目的は試運転(モーター動作確認)なので、ただ線路を固定してバラストを撒くだけでも良いのですが、せっかくなので一手間加えます。

たまたま余っていた3mm角棒に、模型用ノコギリを使って5mm間隔でスジを入れます。


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40cm×2の80cm分用意しました。


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仮置きです。何がしたいかわかりますでしょうか……。線路脇でよく見かけるアレのつもりです。


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塗装します。模型の塗装は実に10年以上ぶり、しかもスプレーではなく筆塗りするのは初めてです。

今の自室はスプレーやエアブラシを使える環境ではないので、あまり塗装方面には手出ししないつもりです。


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使用した塗料はこちら。単に色がつけられるだけでなく、セラミックが配合されておりコンクリートのザラザラ感が再現できるとのことで使ってみました。


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塗装したプラ板・プラ棒を乾燥させている間に、別のプラ板を切り出します。これを何に使うかと言いますと……


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このように線路脇に両面テープを貼り、


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切り出したプラ板で木板を埋めるように配置しました。

バラストを撒くと見えなくなる部分ですが、木板の上に直接バラストを撒いてしまうと、将来的に剥がして修正したくなった時に木板がボコボコになってしまっていて使えない可能性があります。なので下敷き代わりにプラ板を貼りつけてみました。

それだけならマスキングテープでも事が足りそうですが、ついでに嵩上げすることによるバラスト節約も兼ねています。

ちなみに半端な位置にも架線柱の台座があるのは、レールの高さを均一にするためです。架線柱の間隔は200mm程度としました。


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敷いたプラ板に両面テープを貼り、塗装したプラ棒とプラ板を載せます。プラ板は踏切のつもりです。この踏切は、先ほどのレール高さ調整用の台座を隠すような位置に設置しています。

プラ板が黒いものと白いものが見えています。バラストの隙間からプラ板が見えてしまった時に目立たないようマジックで塗っていたのですが、やっぱり不要かなと思い直して、途中から塗るのをやめました。


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とりあえず手前だけバラストを撒いてみました。踏切の警報機や遮断桿も設置しています。ちょっとそれっぽくなってきました。


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他の部分にもバラストを撒いてみました。一番奥には、あらかじめプラ板に空けておいた穴に柵を挿してあります。

 

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踏切と柵は、ヨドバシでたまたま目に入った津川洋行製のものを使っています。


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どうでしょう。殺風景だった、単に木板にレールを固定したものより格段に良くなった気がします。


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バラスト積載加工をしたホキ800と記念撮影です。今回撒いたバラストは、このホキ用に買ったものの余りを活用しました。

 

急遽製作が始まった「机上試運転線」モジュール、手持ちのものを活用できたこともあり、新たに購入したのは木板、架線柱、踏切、柵と塗料程度で、そこそこ安く抑えています。計算していませんが2000円程度でしょうか。

まだ作業の途中ですが、一区画だけでもジオラマっぽいものが作れたので大変満足しています。

今後も暇を見つけて作業範囲を拡大したり、既存区画のグレードアップを施したりと楽しみながら進めていきたいと思います。

 

ひとまず、今日はこれにて。

【受託整備】KATO 東京メトロ16000系(5次車)

今日の模型弄りです。

 

今回は受託整備です。昨年秋頃、高校時代の先輩H氏より段ボール箱一杯のNゲージ(ケースにして十数個!)を預かりました。ご自身でパーツ取り付けや交換等ができないということで、私が代行する形です。

数が多いので、自分の模型弄りと並行して進めることを承諾していただいた上で預かりましたが、私個人の事情からなかなか手をつけることが出来ず、この度ようやく進めることができました。

実は昨年中に1本弄っているのですが、まともに記録を残せなかったためそちらはスルーします。

 

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今回はこちら、KATOのメトロ16000系です。質感もよく、私が沿線民だったら間違いなく欲しかっただろう製品です。

さっそく試走台に乗せて確認。ヘッドライトも明るくていいですね。


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ところで「こんな線路今まであったっけ?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

今まで使用してきた「押入れ試運転線」は、事情があって解体することにしました。ただ、それでは試験走行や店頭確認ができないので、作業机周りを整理してスペースを捻出し、そこにこのような木製の基礎を作りレールを敷設してみました。いずれは簡単なモジュールレイアウトのような形でバラストを撒いたりして、撮影台として使えるように整備するつもりです。


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それはともかく車両弄り開始。今回の依頼内容は「前面行先板と側面ステッカーを各駅停車我孫子行きにしてほしい」というものでした。

前面行先表示は、昨今流行りの行先板交換型です。製品には各駅停車北綾瀬行きが付属し、交換用として準急向ヶ丘遊園、各駅停車我孫子と無印字のものが付属しています。


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まずは先頭車のボディを外して、行先板を交換します。


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この2つを入れ替えるだけです。


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組み直して、再度試走台に載せました。デフォルトの時点でそうだったのですが、行先板の上から光が漏れてしまっています。


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再度バラして、アセテートテープで遮光してみました。アセテートテープは最近買ってみたばかりなのですが、遮光に遮音、絶縁と万能で、一般的なビニールテープよりも薄いので便利ですね。

テープを貼っただけなので、現状復帰も容易です。


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再度試走台へ。光漏れが少し抑えられたでしょうか。特に中央の行先表示がない部分の漏れがなくなって、違和感が少なくなりました。

これ以上遮光するには、行先板の上面を黒く塗りつぶすと良いかもしれませんが、オーナーからそれには及ばないとの連絡があったのでここまでにします。


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側面行先表示はステッカーで。このようなステッカーが付属しています。


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貼付け。どうでしょうか。貼付け面の凹みが浅いので、ちょっとだけ「シール感」があります。


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女性専用車ステッカーも付属しているのですが、ガラス面にシールを貼るのはシール感が強くなってしまって好きではないので、インレタを使ってみます。元々手元にあったものですが、オーナーの許可を得た上で買い足しました。

 

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裏貼りするタイプなので、ちゃんとガラスの奥に貼ってあるような感じになります。

インレタ自体も貼りやすくていいですね。擦った場所だけが綺麗に転写され、しかもしっかり貼り付いてくれます。ただ、インレタ同士が密接して並んでいるので、位置合わせがすごく難しかったです。何度かやり直しました。予備を買っておいて正解でした。

これで代々木上原方先頭車は完了です。あとは中間車の側面ステッカーを順番に貼りつけていきます。

 

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反対側、綾瀬方先頭車まで来ました。上原方と同様にアセテートテープで遮光します。

こちら側には女性専用車インレタを貼る必要がないので楽でいいですね。

 

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記念撮影。転落防止のためにつけた両脇の木材ですが、こうしてみると高架線のガードに見えなくもないです。

 

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使わなかった行先板はいつものジッパーに入れてケースに入れておきます。これでオーナーさんも気分で交換できるでしょう。

 

という感じで今回は受託整備でした。自分の整備が進まないというのは難点ですが、模型を弄っている間は購入欲が抑えられますし、何より経験を積めるのがありがたいですね。

ただ人さまの模型を適当な形で整備するわけにもいかないので、自分のものなら目を瞑るようなところも雑に済ますわけにはいかず、だいぶ気を使います。特にインレタは難しいですね。元々器用な方ではないので、誤魔化しきれないと辛いものがあります。

友人・知人に限ってですが、必要とあらば整備依頼は引き受けていきますので、今後もそこそこの頻度で整備依頼の記事を上げることになるかと思います。

(まずはこの段ボール一杯のをどうにかしないと……)

 

ひとまず、今日はこれにて。

【カプラー交換】TOMIX EF64-1000双頭機のKATOカプラー化

今日の模型弄りです。

 

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前回弄った旧客はナックルカプラー装備になったということで、これを牽引するEF64-1000についてもナックル対応にする必要がありました。

元々、手持ちの機関車・客車系車両のKATOカプラー/ナックルカプラー化を進めており、機関車についてはほぼ完了していました。しかしこのEF64-1000については、連結器が「双頭連結器」のため、施工を後回しにしていたものです。最後に残ったこの1両を双頭ナックル化していきます。


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このEF64-1000は、何度か記事で取り上げている「さよならあけぼの」セットのもので、当初より片側を双頭TNカプラー、もう片側がアーノルドカプラー装備となっていました。

前回の記事で書いたミニ運転会に間に合わせるため、急ぎでアーノルド側だけナックル化を実施してありましたので、今度はこちらのTN側をナックルに交換します。


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車体を外し、足回りのユニットからスカートとスノープラウを取り外します。EF81などと作りは全く同じですね。慣れたものです。


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突然ばらされた写真からになってしまいましたが、これはTNカプラーではなく「Mカプラー」をバラしたパーツと、今回取り付ける双頭式のナックルカプラーです。

MカプラーはTOMIXユーザーならご存知、アーノルドカプラー型で磁石での自動解放に対応しているやつですね。あれの台座部分をバラして、このナックルカプラーを組み込みます。

 

やり方は以前と同じで、組み込むカプラーがナックルカプラーから双頭形のKATOカプラーに変わっただけです。

ただ、KATOカプラーをそのまま組み込むのではなく、少し加工します。


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そのままでは入らないので、台座内に収まるよう、カプラーの根本を少しカットします。

穴の中心くらいまでカットしてしまう例も見かけますが、それをやるとスノープラウとカプラーが接触してしまい、スノープラウを削ったりといった作業が必要になってしまうので、この辺が限度です。これでも多少擦るくらいです。

走行安定性を重視される方は、前後方向はカットしない方がいいでしょう。

さて、TNカプラーからKATOカプラーに交換してしまうと、TNカプラーとは連結できなくなってしまいます。主な連結相手はナックルカプラー装備の客車なので支障はないのですが、連結できるなら連結できるに越したことはないはずです。


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ご存知の方も多いと思いますが、現行仕様のKATOカプラー(密連型#2)、いわゆる「フックなしカプラー」は小加工によりKATOカプラーともTNカプラーとも連結できる万能連結器に進化します。これを行わない手はありません。

写真のように、ニッパーで連結器の突起を挟んで少しだけ力を入れて首を細くしてやります。間違っても切り落とさないように……。


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元々ついていた双頭型TNカプラーと繋いでみました。がっちり繋がっています。


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無加工の双頭型KATOカプラーとも。全く問題ありません。


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密連側は万能カプラーとなったわけですが、自連側はどうでしょうか。

無加工だと、このように「ちょっとひっかかるだけ」となります。牽引は難しいでしょう。


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カプラーを車両正面からみて左側の側面の突起を削り落とし、中心にピンバイスで穴を開けます。0.7〜0.8mm程度のものが良いようです。私はドリルの付け替えを横着したので0.5mmを使いましたが、効果は微妙です。ちゃんとしたやつを使いましょう。


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穴を開けると、TN側の連結器の爪が穴にちょうど引っかかるようになります。ナックルカプラーだともう少しちゃんとハマるんですが、これは双頭カプラーなのでどうしても密連側が邪魔になります。これは仕方がないので、自連型/密自連型TNとの連結機能はあくまでオマケということで妥協します。


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最後に、Mカプラーの根本パーツに今加工した双頭カプラーを組み入れます。位置は上部に合わせ、下に適当なプラ材などを押し込んでスペーサーとしましょう。接着はゴム系接着剤(ボンドGクリヤー)で、たっぷり塗り込んでカプラーが動かないようにします。


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これにて完成です。本来想定されている密連型#2(フックなし)のKATOカプラーと、ナックルカプラー、KATOカプラーNのみならず、密連型、自連型/密自連型のTNカプラーとも連結できる万能機関車が誕生しました。

これなら、アーノルドカプラー以外のほとんどの車両と連結させることができるでしょう。客車牽引以外にも、電車と連結しての配給輸送なども再現できそうです。

一方、当区ではアーノルド装備の本線用機関車最後の1両ということで、「レールクリーニングカー」牽引車として重宝していましたが、今回の改造で直接連結ができなくなってしまいました。当面は、アーノルドとナックルを両方装備したヨ8000を間に挟んで使うことにして、気が向いたらクリーニングカーの連結器もナックル系に交換してみようかと思います。

 

思い返せば、このブログの最初の記事は「TOMIXのEF81をナックルカプラーに交換した」という内容でした。それから約1年と4ヶ月、ようやく機関車のカプラー交換が完了したことになります。

客車の方はまだまだ未交換の車両がありますので、引き続き、入線整備や受託整備の合間にぼちぼちと進めていきたいと思います。

 

ひとまず、今日はこれにて。